東京・国分寺の真言宗豊山派の観音寺に生を受けた佐藤多持(1919-2004)。
幼少より仏教美術に親しみ、東京美術学校(現・東京藝術大学)日本画科を卒業します。過酷な戦争体験をへて1949年に訪れた尾瀬で出会った水芭蕉が、彼の人生を変えました。自然の奥に潜む宇宙をあらわす、日本画による抽象絵画へと導かれます。のちに《水芭蕉曼陀羅》と名付けられた代表的連作の制作は50年におよび、85歳で亡くなるまで絶え間なく創作を続けました。
本展は佐藤多持の画業を「戦時下の絵日誌」「水芭蕉曼陀羅が生まれるまで」「水芭蕉曼陀羅 果てしなき運動体」「奥多摩の渓流」「風物スケッチ」のテーマに分け、初期から晩年までをダイジェストでご紹介します。色紙《戦時下の絵日誌》は戦中戦後の立川・国分寺周辺の貴重な記録でもあり特筆すべきものです。水芭蕉曼陀羅における、造形の本質をとらえ、必然の位置に切り込む線は生命の始原をめざすかのように弧を描き、神秘的ですらあります。一方、鮮やかな油彩画や墨彩で風景をとらえ、自然の探求をライフワークとしました。
日本画でも洋画でもなく、“日本の絵画”として美を追い求めた佐藤多持。代表作を収集した近年の新収蔵品から、孤高の抽象表現にせまります。さらに本展にあわせ1975-80 年に生家の観音寺に奉納された《水芭蕉曼陀羅 36面襖絵》を3 日間特別公開します。その唯一無二の芸術に出逢えるまたとない機会となるでしょう。
展覧会概要
会期: 前期展:9月28日(土)~11月4日(月・休)
後期展:11月16日(土)~12月22日(日)
※展示替休館:11月5日(火)~15日(金)
会場 : たましん美術館 〒190-8681東京都立川市緑町3-4多摩信用金庫国立本店1F
主催 : 公益財団法人たましん地域文化財団
協力 : 福壽山無量聚院観音寺、ギャラリー国立、コート・ギャラリー国立
展示総数 : 作品約100点、《水芭蕉曼陀羅》《戦時下の絵日誌》他、展示作品のドローイング等関連資料
開館時間 : 10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日 : 月曜日(10月14日(月・祝)は開館し、翌15日(火)を休館、11月4日(月・休)は開館し、翌5日(火)~15日(金)を展示替え休館とする)
入館料 : 一般500円 高大生300円(中学生以下無料)
関連催事 :
「観音寺 水芭蕉曼陀羅36面襖絵 特別公開」
10月19日(土)、20日(日)、21日(月)11:00~16:00
会場 福壽山無量聚院観音寺(国分寺市西町2-27-8)
観覧無料/予約無料
上記時間内に自由にご鑑賞いただけます。直接会場にお越しください。
お問い合わせ先:観音寺 電話042-572-3225
「学芸員によるスライドトーク」
11月24日(日)14:00~15:00
会場:多摩信用金庫本店3階 たましん事業支援センター(Winセンター)
参加費無料/要予約(定員30名)
本展担当学芸員(藤森梨衣)が展示の見どころと作家の生涯を解説します。
美術館受付もしくはお電話(042-526-7788)にてお申込みください。
関連展示 :
ギャラリー国立(国立市中1-9-18)
10月17日(木)~10月22日(火)
1F「水芭蕉曼陀羅(1993-2002)」
2F「四角の運動と物語(1958-1959)」
コート・ギャラリー国立(国立市中1-8-32)
10月31日(木)~11月5日(火)
「水芭蕉曼陀羅 屏風絵」
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