小野寺満理子 個展「油画 多摩のまちなみと緑について」 インタビュー(地域貢献スペース/立川)
- t-zaidan
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更新日:3 時間前
多摩信用金庫2階ギャラリー(地域貢献スペース)では、当ギャラリー「若手アーティスト部門」の審査を通過した作家、小野寺満理子による個展「油画 多摩のまちなみと緑について」を2026年9月25日(金)まで開催しています。
出品作家の小野寺さんに、同展の展示作品や制作への思いについてお話をうかがいました。
(聞き手・文:たましん美術館学芸員 佐藤)

――今回の展示を企画したきっかけを教えてください。また、展示を企画するにあたり意識したことがありましたら教えてください。
こちらの展示スペースを初めて知ったのは、澤井昌平さんの展示(2024年開催)を拝見しに来た時でした。その時は、ここで自分も展示できるかどうか、ということまでは考えなかったのですが、その後、別の作家さんの展示もいくつか見させていただく中で、多摩地域に暮らしている自分も利用申請できるのであればしてみようと思い立ち、このたび申し込みをしてみたというところです。間口が広い会場だなと感じました。
たましん本店のギャラリーで展示をさせていただくということで、多摩地域の風景を描いた作品だけを出品しています。青梅と、奥多摩のまちなみと、緑を描いた作品です。また、作品タイトルも、その風景がどこを示しているのかわかるタイトルにしています。
――本会場は展示をするにあたっていかがでしたか?
とにかく、広いスペースだなというのが第一印象ですね。私は小~中サイズの作品を出品していますが、間がもってよかった…と感じています。
――これらの風景はご自身にとって身近な風景なのですか。
例えばこの作品(《薄暮の空》のシリーズ)は、よく、あなたの自宅ですか?と尋ねられることが多いのですが、東青梅五丁目の自治会館を描いたものです。これをモチーフとした絵を継続して描いてみています。

――モチーフを選ぶ時に意識していることは何ですか。
私のこだわりとしては、都市の景観というものに興味があって、特に自然と人工物の比率が気になるんです。コンクリートやアスファルトの道路、人が暮らす建物などの人工物と、木々などの自然物が入った風景をモチーフとすることが多いです。
――都市の景観を作品のモチーフとすることになったきっかけなどはあるのですか?
絵を描くためにモチーフを求めた時に、よく郊外の風景に惹かれていました。見慣れた風景の中に、多くなくてもいいので緑が入っていると良いな、と思っていました。気づくと、風景を切り取ろうとした時に人工物と緑の程よいバランスを探っていることが多く、それがきっかけと言えるかもしれません。私は日の出町で生まれ育ったのですが、今住んでいる青梅は風景が似ていて、もしかすると、町として心地よさを感じていた日の出町のような風景を潜在的に求めているから、今描いているテーマに辿り着いたのかも、と思いました。
――風景を描くことにおいて大切にしていることはありますか。
風景画を選ぶということは、作品の鑑賞者の方と会話が弾みやすいという利点があると思っています。ありふれた風景を描いていたとしても、それがコミュニケーションツールになりやすいことが風景画の強みではないかと思います。そこから会話が始まるような、具象的な絵づくりをするということは、特に大切にしています。
――小野寺さんの作品の画面は、そのほとんどが青っぽいトーンでまとめられていますが、その点は意識されてのことなのでしょうか。
油絵具の青はそもそも染まりやすいのですが、それに加えて、自身が寒色系の画面を求めていることもあって、青に寄ってしまいますね。
――絵画作品の制作プロセスについて詳しく教えてください。
基本的には絵具を厚めに重ねがちなので、画面の中で自分が興味のあるところばかりが他のところよりもとても厚くなってしまうことがあります。粗密のメリハリがある画面づくりも方法としてありだと思うのですが、個人的には画面の厚みに均一さがほしいんですね。なので、画面が均一になるように描くようにしています。私の絵においては、それが画面の強度につながると思って。
――今回の出品作品は全て縦構図なのですが、どういった意識が働いているのでしょうか。どんな良さを感じていますか?
日本画で描かれる風景は縦の構図が多いと思うのですが、それが個人的な好みであるからかなと思います。
絵を描く上では、高低差の大きなところとか、入り組んだ地形など複雑な地形を表現しやすいということが、縦構図の良さとして挙げられると思います。地形も描けるし、空も、足元も同時に画面に入れ込めるということがポイントですね。
――作品制作においてご自身にとってここは譲れないと思う点はありますか。
油絵制作の段階に入る前に、エスキースを何度も重ねています。外出してその場で風景を描写するというよりは、丹念にモチーフを取材した上で時間を置いて寝かしてみるなどしてから家で制作をするということを行っています。自分の描きたいと強く感じるポイントが一つの画面の中に複数出てくるのですが、これをすぐに油絵制作の段階で描けるかというとそうもいかず、何度もドローイングをして、それを自分の体になじませることが必要になってくるんです。何も見ずにそらでも描けるくらい時間をかけてから油絵具で描くというところは、自分にとってはずせないポイントかなと思います。
――油彩画の制作を高校時代から継続しているということですが、どのようなことを魅力と感じていますか。
色を重ねて描けること、のせた絵具を削って、またその上に描けること、などでしょうか。こちらの加えた力に耐えてくれるような物理的な強さをもっているし、そういった点で油絵具という素材を信頼しています。
――今後はどのような活動を行っていきたいですか。
描く上での丹念さを追求しつつ、縦の構図を活用して自分の好きな複雑な地形の風景を描き続けていきたいです。それが私の自己表現のあり方ではないかと最近気づいたのもありますが、そうした表現をこれからも続けて、発表の機会を重ねられればと思います。
――ありがとうございました。
インタビュー実施日:2026年8月6日
小野寺満理子 個展「油画 多摩のまちなみと緑について」
会期|2026年8月3日(月)〜9月25日(金)
利用可能時間|午前8時〜午後9時
入場料|無料
会場|多摩信用金庫本店本部棟2階ギャラリー(地域貢献スペース)
〒190-8681 東京都立川市緑町3-4 多摩信用金庫本店2階
お問い合わせ|042-526-7788(たましん美術館)



